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パートにも賞与で差をつける。カリスマ社長「チャンスは平等に与え、成績によって処遇の差をつける」

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第3回

ルールが明確になっていれば、差をつけてもいい

 武蔵野はパートを公平に扱いますが、頑張ったパートと頑張らなかったパートの賞与額には差をつけます。

 差をつけても文句が出ないのは、「経営計画書」(※)に、「賞与は、1年以上在籍のパート・アルバイトに上司が評価して、規定の比率で支給する。賞与は全12ポイントによるポイント制とする」と明記してあるからです。「えこひいき」はいけませんが、ルールが明確なら、差をつけても文句は出ません。方針やルールを決めずに、場当たり的に差をつけるから「不公平だ」と文句が出ます。

 女性は、男性よりも、「守る能力」を持っています。母親が子どもを育てることに秀でているのも、守る能力が高いからです。また、男性は次から次へと新しい変化を求めますが、女性は違います。変化することよりも、
「決められたことを、決められた通りに実行する」
「最後まで、根気よく続ける」
 ことが得意です。

 パートを戦力化できない理由のひとつは、会社にルールや方針がなく、行き当たりばったりの指示を出すことです。上司によって指示が違ったり、方針がその都度変わったりすることをパート(女性)は嫌がります。

 普通の会社は、社長と、専務と、部長と、課長と、係長の言うことが微妙に違うため、パートは「どれが正しいのか」がわからなくなって、迷います。

 しかし武蔵野は、実行すべき方針や守るべきルールが「経営計画書」に書いてあるため、ブレがなく、安心して仕事をすることができます。

 スポーツや遊びにもルールがあるように、会社にもルールが必要です。「決められたことを、決められた通りに実行したい」というパートにとって、ルールが「紙」に書かれていることは、とても大切です。

(※)武蔵野のすべてを書き記したもの。経営理念、長期事業構想、社員教育、人事評価、採用、クレーム対応、資金運用、実行計画など、会社の方針と数字が明文化された手帳型のルールブックと、クルマの運転のしかた、タクシーの乗り方、道の覚え方に至るまで、具体的に明記した武蔵野手帳がある。

<『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)をもとに構成>

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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